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介護施設と家族の関係を考える

介護のお仕事

介護施設での利用者の家族と職員の関係は、とても難しいものです。家族の理解がなければスムーズな介護が行えません。家族の考えと施設職員の考えが乖離していることもしばしば。。。もちろん家族には「良いケアをしてもらいたい」「自分の思い通りにさせてあげたい」などの要望があります。

しかし、介護施設は共同生活の場であって自宅での生活ではありません。忙しい職員との意見の食い違いもあります。本来「利用者主体の介護」でなければいけないのが介護施設のありかたです。介護施設は、介護の三原則を実践することを目指しています。家族が望むことがここにはあります。

実際に、この理念を実践することは困難です。では、どうしたら利用者、家族、職員の関係を円滑に進めることができるのでしょうか。

介護の三原則
生活の継続性・自己決定の尊重・残存能力の活用

信頼関係の築き方とその意義

介護施設でのケアは、利用者本人だけでなく、その家族との関係性によっても大きく左右されます。 「この施設に任せて本当に大丈夫だろうか」——そんな不安を抱える家族に対して、職員がどのように信頼を築いていくかは、安心と協働の土台となる重要なテーマです。

家族との信頼関係

信頼関係はとても重要な事です。信頼関係なくして良好な関係は築きません。

信頼が築かれると、家族は施設に対して「任せる」姿勢を持てるようになります。 それは、職員にとっても「責められる相手」ではなく「協力者」として家族を捉えられるようになるということ。

結果として、利用者本人にとっても、より穏やかで安心できる環境が整います。 信頼は、三者(利用者・家族・職員)をつなぐ“見えない支え”なのです。

入所前から、すでに信頼関係の構築は始まっています。施設の概要は勿論のこと、利用者1人1人のケアの方向性、個人にあったケアの方法、など的確に伝え不安を取り除くことで安心感が生まれます。入所前にケアプランや個別支援計画書、アセスメントシート、などを家族とともに作成しながら信頼関係を得ていきます。

報・連・相の重要性

報・連・相は、こまめに行いましょう。

・食事の摂取量が少なくなった。
・微熱がある。
・転倒した。
・行事を楽しまれた。
・食事を美味しそうに食べていた。
・リハビリを頑張っている。
など、些細な事から、大事な事まで、毎日の様子を伝えましょう。

直ぐに連絡することはありません。何か用事のついででも良いのです。広報誌でも、電話、メールなんでも良いかと思います。

介護施設における報・連・相は、単なる業務連絡ではなく、家族の不安に寄り添い、安心を届けるための“言葉のケア”です。 小さな報告でも、誠実に、丁寧に伝えることで、「ここなら任せられる」と思ってもらえる関係が築かれます。

誠意を持った対応

介護施設で働いていると、ふとした時にクレームが舞い込みます。思ってもいなかった事もしばしば・・・意としなかったことでもクレームとして報告されます。

しかし、クレームや不満は信頼関係を築くチャンスです。誠意を持った対応を心掛けましょう。

以下のことを心掛けて下さい。

・決して感情的にならない
・人のせいにしない
・言い訳をしない
・事実を確実に伝える
・直ぐに対応する
・謙虚に受け止める

全て施設側が悪いのではないですが、誠実に対応し解決策を提示することで家族とのわだかまりも解消できます。誠意を持って対応することで「この施設、職員なら任せられる」という家族の安心感に繋がります。

家族との協働によるケアの質向上

介護施設におけるケアは、職員だけで完結するものではありません。 家族との情報共有により、介護により深みが増します。利用者の「その人らしさ」を支えるには、家族の記憶・価値観・生活歴といった“文脈”が不可欠です。 家族との協働は、単なる情報提供ではなく、ケアの質を高める“共同設計”のようなものです。

情報共有

施設入所の前に色々な情報提供があります。非常に大事な事なので職員全体に周知する必要があります。趣味とか好きな食べ物、嫌いな食べ物などは、初めにある程度の情報はあります。しかし、施設で生活していく中で、色々な発見、気づきが発生していきます。情報共有を密に行うことで解決していくことが沢山あります。

施設での発見、家族しか知らないことを共有しながら、日々利用者と向き合い気づいたことは家族に報告、相談していくことが”協働すること”の大切な部分となります。

面会・イベント等の参加

現在、面会は自由な時間に自由な人数で行うことが難しい状況です。コロナウイルス、インフルエンザなどに施設側は非常に敏感になっています。未だに制限が掛かっている施設は多いです。遠方からくる家族、仕事の都合上時間の取れない家族、様々な事情があってなかなか会えない方も多くいます。

面会は、利用者にとっても職員にとっても非常に大事な時間になります。何か気づいたことや困っていることがあれば、相談する良い機会になります。もちろん面会の時間ですから家族の語らいの邪魔になるような言動はやめましょう。相談の時間の掛かりすぎには重々注意して下さい。

そして、家族参加型の行事などの大きい行事は、ただのイベントではなく利用者にとって家族に会う貴重な時間になります。利用者は家族に会うことで精神緩和に繋がります。表情も和らぎ、穏やかになります。積極的に行事に参加していただくように努めましょう。

行事は、職員にとっても利用者家族に会う絶好の機会になります。行事の邪魔にならないように会話を心掛けましょう。楽しい場なので色々な昔話も聞けるかも知れません。ケアのヒントになるような話しも聞けるかもしれません。楽しい場所こそ家族との仲を深める絶好の機会になりますので、積極的に話してみて下さい。

トラブルや意見の相違への向き合い方

介護施設では、利用者本人だけでなく、そのご家族との関係も日々のケアに大きく影響します。 ときには「対応が不十分では?」「もっとこうしてほしい」といった声が寄せられ、職員が戸惑う場面もあるでしょう。 しかし、こうした意見の食い違いやトラブルの背景には、家族の“願い”や“心配”が隠れていることが少なくありません。

職員がその感情に誠実に向き合い、冷静に事実を整理し、共通の目的「利用者の安心と尊厳」に立ち返ることで、対立は協働へと変わっていきます。そして、トラブルや意見の相違が起きたときに、職員がどのような姿勢で対応すれば、家族との信頼関係を築き直せるのでしょうか。

クレームに対する考え方

家族からのクレームを受けると、職員としては落ち込んだり、「なぜそこまで言われなければならないのか」と感じたりすることがあります。

しかし、クレームの背景には、利用者さんへの思いや不安が隠れていることも少なくないと感じています。

もちろん、すべてのクレームが正しいとは限りません。事実とは異なる内容や、職員側では対応が難しい要望もあります。それでも、家族が声を上げるまでには何らかの理由があります。

大切なのは、「クレームを言われた」という事実だけを見るのではなく、「なぜその家族はそう感じたのか」を考えることではないでしょうか。

介護を施設に任せるということは、家族にとって大切な人の日常を他者に託すことです。その中で生まれる心配や罪悪感、期待や不安が、時としてクレームという形で表れることがあります。

だからこそ私たちは、防御的になるのではなく、まずは相手の思いに耳を傾ける姿勢を持ちたいと思います。そして同時に、職員自身も過度に責任を抱え込まず、普段から、できることとできないことを丁寧に伝えることが大切だと感じています。

クレームは決してうれしいものではありません。しかし、その声に向き合うことで、施設と家族との信頼関係を見直すきっかけになることもあります。

共通の目標を見つける

家族との共通の目標を見つけることが、良い関係を築いていく上でとても大切だと感じています。

家族から要望やクレームをいただいたとき、ついその内容にばかり目が向いてしまうことがあります。しかし、本当に大切なのは「何を問題にしているのか」ではなく、「利用者さんにどのように過ごしてほしいと願っているのか」を共有することではないでしょうか。

利用者さんに安心して生活してほしい、自分らしく過ごしてほしい、少しでも笑顔でいてほしい。表現は違っても、家族と施設職員が目指しているものは同じであることが少なくありません。

共通の目標が見えると、クレームや要望も対立ではなく、より良い支援のための意見交換として受け止めやすくなります。だからこそ私は、家族との関係づくりにおいては、まず同じ方向を向ける目標を見つけることが大切だと考えています。

職員間での情報共有

職員間での情報共有は、クレームやトラブルを最小限に抑えるための大切な手段の一つだと考えています。

家族からいただく要望や不安の声は、一人の職員だけが把握していても十分な対応にはつながりません。情報が共有されていなければ、職員によって対応や説明に違いが生じ、家族に不信感を与えてしまうこともあります。

だからこそ、家族の思いや希望、これまでの経緯をチーム全体で共有し、同じ方向を向いて支援することが重要です。情報共有がしっかり行われている職場ほど、家族との認識のずれを防ぎやすく、結果としてクレームやトラブルの予防にもつながるのではないでしょうか。

なぜ、家族と向き合うことが必要なのか

その理由の一つに「信頼関係を築くため」があると考えています。

家族からクレームや要望をいただく場面では、どうしてもその言葉の強さや内容に目が向いてしまいがちです。しかし、その背景には利用者さんへの心配や不安、大切に想う気持ちが隠れていることも少なくありません。

日頃から家族とコミュニケーションを取り、利用者さんの様子や支援の内容について丁寧に伝えていれば、お互いの理解は深まっていきます。その積み重ねが信頼関係につながり、ちょっとした行き違いや誤解が生じたとしても、大きなクレームやトラブルへ発展しにくくなります。

また、信頼関係が築かれていると、家族も感情的に怒りをぶつけるのではなく、相談という形で思いを伝えてくれることが増えます。職員側も家族の言葉を前向きに受け止めやすくなり、より良い支援について一緒に考えることができます。

家族と向き合うことは、クレームをなくすためだけの取り組みではありません。利用者さんを中心に、家族と職員が同じ目標に向かって協力していくための土台づくりです。その土台となる信頼関係があるからこそ、お互いの考えを率直に伝え合い、より良い支援につなげることができるのだと思います。

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