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介護士の移乗介助。1名介助・2名介助のメリット・デメリットを解説。

介護士の移乗介助 介護のお仕事

介護の仕事には、移乗介助というものがあります。ある物からある物へと利用者様を移す介助です。例えば、車椅子からベッドへ・ベッドから車椅子へ・車椅子から便座へ、などです。

介護の仕事には移乗介助は必要不可欠です。あらゆる場面で移乗介助は行います。就寝、離床、入浴、トイレ、日常茶飯事に移乗介助を行います。

そこで疑問に思うのは、この利用者様は1名で移乗介助した方がいいの?2名の方がいいの?と考えてしまいます。

私は、十数年介護福祉士として介護施設で業務に携わっています。私の経験や、教わったことを基に解説していきたいと思います。

移乗介助の基本的な方法を知っていると仮定した上で解説しています。基本的な介助方法はコチラの記事で解説しています。

この記事を読むメリット

・事故やケガを減らせる

・スキルアップに繋がる

・他の介護士の教育に役立てる

結局、1名と2名どちらが良いの?と言われたらそれはケースバイケースという結論になります。

それは、メリットとデメリットがあるからです。それらを解説していきたいと思います。

YouTubeチャンネル開設いたしました。

1名介助

1名で移乗介助を行うメリットとデメリットを解説いたします。

1名介助とは、利用者様1人に対し介助者1名ということです。

1名介助のメリット

1名介助のメリットといたしましては、介助方法を習得していれば、バランスが取りやすくなることです。1名介助の場合は介助者と利用者様の計2名でバランスを取りますが、2名介助で移乗する場合は介助者2名と利用者様1名の計3名でバランスを取らなければいけません。

息を合わせようとすると少数の方が息を合わせやすいですよね。息を合わせることによりケガや事故を防げます。息が合わせられないということに対する、転倒のリスクが減るからです。

移乗介助を行う際、例外はありますが基本的に1名での介助が多いです。介助方法さえしっかりと身に付いていれば1名で十分です。ですから早く自立して一人で介助出来るようになりましょう。

もちろん皮膚の状態が悪かったり、骨に異常がある方や麻痺や拘縮のある方などの場合に2名介助が指示されていれば1名で介助出来る場合でも、2名介助を行いましょう。

時間の短縮などの目的で、自分勝手に1名介助を行うと利用者様に負担がかかります。

1名介助のデメリット

デメリットはケガです。特に車椅子に接触しての擦過傷や表皮剥離、切創などの皮膚を傷つけるケガが起こることが多いです。

特に下半身を傷付けることが多く見られます。車椅子のフットレスト付近に足が当たり傷付いてしまいます。足を軸に回転する際にケガをさせてしまうのです。2名介助ではそのようなことは殆どありません。

メリットの項目でバランスが取りやすいと書きました。しかしバランスは取りやすいですが1名介助は、一旦バランスを崩してしまうと転倒してしまうリスク高くなります。

1名では利用者様を支えきれないからです。2名では何とか持ち直せても、1名ではそのまま転倒する可能性が高いです。

それを防ぐ為には、「しっかりと移乗介助の基本を身につける」「それを実行する」「急がない」「無理ならば2名介助で行う」ことです。

2名介助

2名で移乗介助を行うメリットとデメリットを解説いたします。

2名介助とは、利用者様1名に対し介助者2名ということです。

2名介助のメリット

2名介助のメリットとしては介護士が楽に移乗介助できることです。当たり前の事ですが一人より二人の方が介護士の身体的な負担は減りますよね。

体重の重い利用者様もいらっしゃいます。いくら介助技術があっても重いものは重いです。1名で無理に移乗介助を行うとバランスを崩し介助者もろとも転倒してしまうリスクがあります。無理に1名で介助する必要はありません。助けを呼び2名で介助を行いましょう。

ゆっくりと利用者様に負担を掛けないことを前提にするならば2名で介助した方が良いです。介護士、利用者様双方の負担の軽減になります。

2名介助のデメリット

2名介助を行う際のデメリットは利用者様に恐怖心を与えてしまう事です。2名で持ち上げた場合利用者様は多少なりとも宙に浮いてしまいます。不安感を煽る結果となってしまいます。

恐怖心を与えてしまうと体調不良を引き起こしたり、メンタル的にも異常がみられる可能性があります。

大事なのは「適切な声掛けを行うこと」「息を合わせること」「力任せにならないこと」「ゆっくりと慎重に行うこと」です。

力任せに行ったり、息が合わない場合はケガに繋がることがあります。例えばベッドに着地する場合にはゆっくりと着地して下さい。ドスンと勢いよく着地すると臀部に負担がかかります。表皮剥離や発赤、最悪の場合は骨折に繋がります。何より痛みが伴うことがあります。

もう一つのデメリットは息が合わない時があることです。2名で介助している以上、息を合わせる必要があります。「せーの」などのかけ声と共に介助いたしましょう。

息が合わずに介助してしまうと落下することに繋がります。非常に危険です。

そして可動域は必ず把握しておきましょう。例えば上半身を抱える方は、利用者様の両脇から自分の腕を通すことがあります。その際に利用者様の腕も上がりますので、無理にならないように介助いたしましょう。脱臼や骨折に繋がる場合もあります。

2名介助には危険が伴いますのでゆっくりと慎重に行いましょう。

介護リフトやスライディングボードの使用

介護リフト
スライディングボード

理想は介護リフトやスライディングボードを使用することです。介護者に対するメリットばかりが目立ちますが、利用者様にもメリットがあるのです。

利用者様の身体的負担が圧倒的に減ります。使ってみると分かりますが、身体の筋緊張があまり見られなくなります。利用者様が脱力できます。

そして、使用方法を確実に守れば安全で安心な移乗が実現できます。しかしこれは、あくまでも理想です。介助器具が揃っていない介護施設はまだまだ沢山存在いたします。そんな施設に介護リフトやスライディングボードを使った方が良いといっても仕方ありません。

しかし、介護リフトなどを持っているが使用していないという施設もあるようです。使用すると移乗に時間がかかったり、面倒臭いなどという理由だそうです。

非常にもったいないですね。人材不足により1つ1つの介助に時間が掛けられないということも背景にあります。

使用できる、導入できる環境になることは非常に困難ですが、利用者様の為、介護士の為になりますので上司や管理者に導入を懇願いたしましょう。

1名・2名どちらが良いの?

1名?2名?基本的にどちらが良いということはありません。ケースバイケースで行って下さい。利用者様の身体状況や、その時の体調などを加味し介助を行って下さい。

まとめ

・1名介助のメリット、デメリット

・2名介助のメリット、デメリット

主にこ2項目を解説しました。メリット、デメリットは他にもあることとは思いますが、各施設により介助の方法は少なからず変わってきます。

そして、こうすれば絶対に安心、こうすれば絶対にケガをしない転倒しないということはありません。基本に忠実に介助しても、ちょっとしたことでケガをさせることもあります。

しかし基本に忠実に介助し、その人その人に合ったケアを行えばケガや事故は圧倒的に減ります。

自己中心的な介助になってはいけません。利用者様ファーストで介助を行うことを心がけて下さい。

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